粉末だけじゃない水和剤 ― 農薬剤型の国内外比較 ―

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住化テクノサービス株式会社
石川 亮

はじめに

水和剤といえば水で薄め混ぜて使用する粉末状の農薬を想像するが、農薬登録上の「水和剤」は水に溶けにくい農薬成分を微粒子にして水中に分散させた液(フロアブル剤)も含まれる。この剤型名を理解することで、剤の性質や使用法を判断しやすくなる。本稿では、水和剤の国内外における分類と表記について紹介する。

国内における「水和剤」とは?

日本での農薬登録における「剤型名」(1)は、1982年に農林水産省の「農薬の種類について」という通知の中で定義され(2)、剤の形状、性能、使用方法や用途等によって16種類に分類された。そのうち「水和剤」は、「水和性を有し、水に懸濁させて用いる製剤」と定義される。後に開発されたフロアブル剤も使用時に水と混ぜると農薬成分が水中に広がり馴染むという共通点から、農薬登録上は液体であっても粉末状の従来の水和剤とともに「水和剤」に分類された。

水和性:水と混ぜると馴染み分散する性質で、混ぜると溶けて透明になる水溶性とは異なる

欧米での剤型表示は?

一方、欧米では製剤の性質や用途に応じて、英語表記の頭文字2文字をコードに用いて細かく分類する (3)。前項の粉末状の水和剤は WP(Wettable Powder)、顆粒水和剤は WG(Water Dispersible Granule) と表記される。一方、水で希釈して植物の茎葉に散布する液体のフロアブル剤は SC(Suspension Concentrate)となり、また、種子処理用は FS(Flowable Concentrate for Seed Treatment)、水田除草剤のように原液を直接散布するタイプは SD(Suspension for Direct Application) と異なる表記になる。
このように、日本の分類は名称を見れば剤をイメージできるが、1982年に定義されたままで新しく開発された薬剤まで細かく対応できていない。欧米の剤型コードは細かく分類し製剤の形状や用途をより細かく把握できる利点があるが、種類が多く、馴染みのないコードは都度調べる必要がある。

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ISSN 2758-5212 (online)