かいよう病と青枯病のトマト発病株は早く抜き取ろう

(一社)岡山県農業開発研究所
谷名 光治

はじめに

トマトかいよう病及び青枯病※※を防除するには、発病株を速やかに畑の外に出し処分した方がよいとされる。一方で、これらのバクテリアは植物体の傷口などから侵入・感染するため、栽培期間中に発病株を抜き取れば、隣接株の根を傷つけ、むしろ感染拡大を助長する恐れがある。そこで、発病株の除去方法や栽培時期を変えたモデル試験を行い、隣接株への土壌伝染を抑えるのに有効な方法を明らかにしたので紹介する。

病原菌はバクテリアの一種 クラビバクター菌(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis
※※病原菌はバクテリアの一種 ラルストニア菌(Ralstonia solanacearum

プランター試験

発病株の除去方法が隣接株への感染拡大にどう影響するかを調べるため、プランター栽培でのモデル試験を行った。プランターに複数のトマト株を定植し、1株おきにかいよう病菌または青枯病菌を接種し、①発病したらただちに抜き取り処理するもの、②地際部3cm高で切除するもの、③そのまま放置するものを設けた(図1)。季節による発病の違いも考慮して、試験は1年間を通して行った(かいよう病:7回、青枯病:5回)。各試験終了時に全株を調べ、隣接株が感染しているかどうかを評価した(1、2)。
その結果、かいよう病、青枯病ともに、発病株をそのまま放置したり、あるいは地上部を切除したりするよりも、株全体を根ごと早期に抜き取った方が隣接株への伝染が抑制された。特にかいよう病では発病しやすい春季・秋季の抜き取り処理が効果的であった(3)。一方、青枯病では夏季の試験で抜き取り処理の効果が低下する傾向があった。これは夏季の高温や土壌の多湿条件が本病の発病に好適であることに加え、プランター内では圃場より根が高密度で(図2A、B)、隣接株に感染しやすい状況があったためと考えられる。

  • 図1. プランター試験の様子
    (○:隣接株、×:接種発症株除去跡)
  • 図2. プランター試験終了時の根部の状況
    (A:プランターから抜いた状態、B:上部根部を水洗し、ほぐした状態)

圃場試験

早期の抜き取り処理が効果的であることがわかったので、次に実際の畑を想定した圃場試験を行った。圃場に定植したトマトに、1株おきにかいよう病菌または青枯病菌を接種し、①接種株が発病したら、ただちに発病株を抜き取り処理するものと、②地際部3cm高で切除するもの、③そのまま放置するものを設けた(図3)。プランター試験と同様に、各試験終了時に感染の有無を調べた。
その結果、かいよう病については、接種した株を含め全処理区で発病株が少なかったため明確な結果は得られなかった。これは、かいよう病には適していない夏季高温の条件であったためと考えられる。一方、青枯病については発病株をそのまま放置したり、あるいは地上部を切除するよりも、株全体を早期に抜き取った方が隣接株への伝染が抑制された(3)。また、プランター試験では夏季に抜き取り処理の効果が低下したが、圃場試験では明確な伝染抑制効果が認められた。これは圃場試験では株間がプランター試験よりも広く、隣接するトマトの根と接触する機会が少なかったためと考えられる(図2A、B、図4)(4)。

  • 図3. 圃場試験の様子
    (○:隣接株、×:接種発症株)
  • 図4. 圃場試験終了時の根部の状況
    (プランター試験と比較して隣接株との根の接触程度が低い)

おわりに

以上のように、両病害とも季節により効果の差がみられるものの、発病株を見つけた場合には、そのまま放置または地上部を切除するより、早期に株全体を根ごと抜き取る方が隣接株への伝染を抑制する効果が高いことがわかった。やはり発病株は速やかに畑の外に持ち出して処分する方がよいのである。なお、持ち出した発病株には病原バクテリアが充満しており、依然として伝染源となり得ることに十分留意して処分を行わなければならない。

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ISSN 2758-5212 (online)