黎相庭園 / P-T Research
笹部 雄作
笹部 雄作
はじめに
イチョウは秋の黄葉が美しく季節感を彩る樹木であり、街路樹や公園樹として広く植栽されている。東京都では「都の木」に選定され、街路樹としての栽植量はハナミズキに次いで2番目に多い(1)。また、イチョウの種子は食用に供され、「銀杏」とよばれる。高度経済成長期に全国で大量に植えられた街路樹や公園樹は、老齢化・大径化が進み、幹の腐朽や強度低下などのリスクを抱えた木が増えている。こうした危険木による倒木・落枝事故は、最近SNSやニュースでも頻繁に取り上げられるようになった。ここでは、イチョウの倒木・落枝が起きる原因について紹介する。
イチョウ胴枯病
このようなイチョウの落枝や倒木の原因の一つに、イチョウ胴枯病がある。これはカビの一種であるフザリウム菌(Fusarium sp.)によっておこる(4)。本病ははじめ幹の地際部が侵され、病患部が幹を一周すると、葉が小型化し黄化が樹冠部全体に拡がり、やがて萎凋枯死する(5)。しかしながら、幹の病患部は樹皮が剥がれるまで分かりにくく、葉先の枯れが目立つ程度である(図4)。枯れかけた葉にはフザリウム菌の菌糸や胞子が観察される(図5)。本病のような植物病のほか、ほかの生理的要因や、環境的要因などにより、イチョウは枝枯れや落枝を起こし、最後には倒木いたる。
街路樹のイチョウは定期的に剪定されることが多いため比較的安全が保たれているが、公園や緑地のように剪定管理が乏しく放置されがちな場所では、伸びた枝の自重や風圧の影響で枝折れリスクが高まるため、このような場所では落枝や倒木に十分に注意する必要がある。
引用文献
- 東京都建設局「建設局トップ>公園>道路の緑化>5.街路樹のデータ」
- 曽於市ホームページ公表資料「曽於市立高岡小学校校長死亡事故報告書」「高岡小学校の樹木報告書」
- 日野市ホームページ「プレスリリース(令和6年7月~9月) > 日野市多摩平第2緑地内の樹木枝落下事故に関する日野市長コメント(令和6年9月13日プレスリリース)」
- 堀ロ武平(1972)イチョウの胴枯病、森林防疫21(1)20.
- 岸國平/編 イチョウ胴枯病、日本植物病害大辞典 全国農村教育協会899-900.




