「葉かび病」に代わり施設トマトで多発する「すすかび病」

三重県畜産研究所
黒田 克利

はじめに

トマトすすかび病は施設栽培の病害で、発生はこれまで極めて少なかった。しかし最近、全国各地で葉かび病に代わり主要病害になっている。その原因は、トマト葉かび病抵抗性品種の普及に伴い、葉かび病を対象にこれまで使用していたすすかび病にも効果のある農薬(殺菌剤)の使用が減少したためである。すすかび病は、葉かび病に病徴が似ており、肉眼で見分けるのは難しい。そこで、すすかび病の特徴を葉かび病と比較するとともに有効な防除対策について解説する。すすかび病と葉かび病のいずれも、病原菌はカビ(糸状菌:それぞれPseudocercospora fuligenaPassalora fulva)である。

症状と診断

葉に発生し、はじめ葉裏に輪郭が不明瞭な淡黄緑色の円形病斑が現れ、やがて灰色がかった褐色の粉状のカビ(胞子)を生じる(図1A)(1)。この病斑はしだいに拡大し、円形のままか、葉脈に囲まれた病斑となり、灰褐色から黒褐色に変わる(図1B)。多発すると葉全体に発生する(図1C)。
すすかび病の病斑は、葉かび病の病斑(図1D)と似ているので、肉眼により見分けるのは難しい。

  • 図1. 見分けにくいトマトすすかび病とトマト葉かび病
    A. トマトすすかび病の初期病斑
    B. トマトすすかび病の進展した病斑
    C. トマトすすかび病の多発した病徴
    D. トマト葉かび病の進展した病斑

発生しやすい条件

すすかび病
病原菌は26~28℃で活発に生育し、18~22℃で胞子をつくって広がる(1)。胞子が発芽してカビが生育するのは湿度が高いときである。感染から発病するまで潜伏期間があり、2週間以上と長い。施設内が多湿になると、特に発生しやすい。
発病は年間を通して見られ、真夏から秋にかけて多発し、抑制栽培や促成栽培で被害が多い。高温時期やトマトの生育が旺盛な時期(生育期)でも発病する。

葉かび病
施設内が多湿で気温が20~25℃になると多発する。すすかび病よりやや発生温度が低く、晩秋から春に発病する。また、肥料切れや着果負担により生育の勢いが衰えると発病しやすい点で、すすかび病とは異なる。

防除対策

すすかび病の防除は、耕種的防除と薬剤防除の併用により高い効果が期待できる(2)。

1)耕種的防除
密植、過繁茂、換気不十分な施設で発生しやすいことから、施設内が多湿にならないように管理する。また発病葉、被害残渣は次作の伝染源となるため圃場外に持ち出し、焼却処分する。
2)薬剤防除
感染から発病までの潜伏期間が2週間以上と長いことや、病気が広がってからでは防除効果が劣ることから、予防的な栽培初期の薬剤防除が重要である。特に、前作発病した圃場では栽培初期の予防散布を徹底する。防除薬剤はTPN水和剤とマンゼブ水和剤の2剤が、安定した高い防除効果がある。定植前の苗にTPN水和剤を散布すると、定植後の感染を防ぐ効果が高く、前作に発病が認められた圃場では特に有効な防除対策となる。

このページの先頭へ戻る
ISSN 2758-5212 (online)