注意!グリホサート抵抗性オヒシバが増殖中

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東京大学 大学院農学生命科学研究科
渡邊 健

筆者は大学勤務の傍ら、茨城県かすみがうら市にある民間企業でサツマイモの研究業務を行っている。2022年8月、育苗ハウスの周囲の雑草を防除するため、グリホサートを主成分とする除草剤を散布したところ、枯れないオヒシバを見いだしたので、事例紹介する。

問題となるグリホサート抵抗性雑草

薬剤はラウンドアップマックスロード(有効成分:グリホサート)を用い、使用基準の記載に従い、使用量300㎖/10a(使用希釈液量50ℓ/10a)で、育苗ハウス周囲に繁茂する雑草類に茎葉散布した。散布後、経時的に状況観察したところ、複数の草種のうちイネ科雑草のオヒシバに枯れる株と枯れない株が認められた。当初、薬剤の散布むらと考え、枯れない株に同じ薬剤を前回同様の施用量で再び茎葉散布した。しかし、オヒシバの株は枯れることはなく(図1)、生長する傾向にあったため、グリホサート抵抗性であることが明らかとなった。その後、育苗ハウスから約500m離れた会社駐車場内に生えているオヒシバにもグリホサート抵抗性株が混在していることがわかり、既に抵抗性のオヒシバが広く分布していることを実感させられた。
グリホサート抵抗性雑草は1996年にオーストラリアでボウムギ、2000年にはアメリカでヒメムカシヨモギが報告され、現在では世界中で56種344事例が報告されている(1)。日本では、2013年に静岡県の水田畦畔のネズミムギに抵抗性が確認されて以来、オヒシバ、ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギクに抵抗性が確認され、日本各地でグリホサート抵抗性雑草の問題が顕在化している(2)。

  • 図1. グリホサート剤を散布しても枯れない株(グリホサート抵抗性オヒシバ)(矢印)

グリホサート抵抗性雑草の防除

グリホサート抵抗性のオヒシバ(図1)にバスタ液剤(有効成分:グルホシネート)を使用量500㎖/10a(使用希釈液量100ℓ/10a)で茎葉散布したところ、枯死に至った(図2)。このように、グリホサート抵抗性雑草には作用機作の異なる除草剤が有効である。ただし、既に国内でグルホシネート抵抗性のネズミムギが認められている(2)ことを踏まえると、グルホシネート剤を連用することはオヒシバのグルホシネート抵抗性の獲得につながる可能性があるため避けたほうがよい。
除草剤抵抗性雑草を効果的かつ持続的に防除するコツは、作用機作の異なる除草剤を用いたローテーション散布の実施と登録基準に則した使用方法の遵守である。また、グリホサート抵抗性のイネ科雑草には、種子を形成する前にイネ科雑草用茎葉処理除草剤であるナブ乳剤(有効成分:セトキシジム)を利用することも有効である(3)。
除草剤の効きが悪い雑草が見つかる場合、その原因は散布むらではなく、抵抗性かも知れない。同じ薬剤を使っても徒労に終わる恐れがあるため、抵抗性雑草の可能性を考慮した防除対策を取ることが望ましい。

  • 図2. グルホシネート剤の散布によって防除されたグリホサート抵抗性オヒシバ(矢印)
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iPlant|ISSN 2758-5212 (online)