鳥獣被害対策の難しさ(1 その理由とは)

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静岡県農林技術研究所 伊豆農業研究センター
片井 祐介

鳥獣被害対策は、病害虫対策と同様に外部要因(鳥獣・虫・菌など)から植物体を守ることだが、病害虫対策とは異なった難しさがある。鳥獣被害対策について連載を始めるにあたり、その要因について説明する。

鳥獣被害対策が難しい理由

まず、鳥獣被害対策の効果の科学的な検証はとても難しい。例えば、虫害の農薬の効果試験であれば、散布した試験区(処理区)と隣接して散布をしていない試験区(無処理区)を設け、その間に効果の差があればその農薬の効果があったと確認できる。しかし、鳥獣害ではこの方法による効果の検証はできない。
なぜなら、鳥獣は虫に比べ識別・学習能力がはるかに高く、個体数も圧倒的に少ないため、このような試験を設置しても均一に被害が生じるようなことはなく、鳥獣個体が周囲の環境に違和感を感じたりすれば、試験区にも寄り付かない。そのため、鳥獣での効果を見るためには行動から効果を確認する必要があり、多大な手間と専門的な知識が必要となる。
また、国内では鳥獣被害対策を正しく検証できる専門家が極めて少なく、科学的に検証された有効な被害対策技術は多くない。加えて、農薬と異なり鳥獣害の対策商品の多くに法律の規制がないため、効果の検証の無いまま商品が販売されているのが現状である。
ところが、鳥獣の行動から考えて効果が無いと思われる商品でも周辺環境により、効果が認められることもある。効果の予測は難しく、雑誌や新聞に掲載された情報から同じ商品を購入しても、商品の多くは安定した効果は得られない。 
実際に有効な対策としては、物理柵と電気柵、登録のある農薬だけだと思っていただいた方が失敗は少ない。

今回は、鳥獣害対策が難しい理由の一つについて説明したが、次回は捕獲について説明する。

  • 図1. 柿を食べるハクビシン
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iPlant|ISSN 2758-5212 (online)